「Withコロナ」の定義
医療の世界では,議論を進めるときに言葉の定義を明確にしなくてはいけない.
「With ころな」の定義はどうだろうか?
正確には,
① “新型コロナウイルスとの共存・共生を意味する価値観・世界観”
だろう.
基本的には,このような弱毒のウイルスについては,人類との共生・共存以外の方策はなく,完全に駆逐することは無理なので,他の価値観という選択肢はない
しかし,誤解されて使われる可能性があるのは,
② “新型コロナウイルスは怖いウイルスではないので,普通の生活に戻していこうという活動”
ととらえられる可能性があり,またスウェーデンのように,
③ “自然の摂理に任せ,個人個人の判断に任せて,自然に集団免疫の獲得が起こることを期待する価値観”
を意味している場合もある
このように,曖昧な言葉を流布することは非常に危険なことである.
①の意味でつかわれるならば,これは他の選択肢のない必然の内容である.
②の意味であるならば,COVID-19が怖いウイルスではないことを科学的に証明し,それであれば指定伝染病(二類感染症)から外してしまうことが必須条件である.
③の意味で使うならば,国として国策であることを宣言しなくてはならない.
日本では,2020年7月22日から国土交通省が「Go toトラベルキャンペーン」を実施した.日本語の得意な曖昧さ,日本の美徳とされる奥深さは,科学や今回のような明確な判断が必要な場面では悩ましい.
皆さん,「With コロナ」を使う場合は,どういう意味で使っているかを明確にしましょう.