COVID-19の重症度の変化、ワクチン接種の効果についての考察
イギリスのCOVID-19の感染症者のピークと、その後の死者のピークを波の時期の違いによって比較してみます。
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昨春 |
今年初 |
今秋 |
感染者数 |
2020年4月7日 |
2021年1月6日 |
2021年10月23日 |
5264 |
65002 |
44985 |
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死亡者数 |
2020年4月14日 |
2021年1月20日 |
2021年11月4日 |
1076 |
1820 |
214 |
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死亡率 |
20.40% |
2.80% |
0.48% |
ワクチン接種率 |
0% |
0.60% |
67.80% |
このワクチン接種率は2回接種についてです。
昨春は、診断のための検査が十分ではなかったのだろうなと思わせます。少なくとも、今年初~今秋にかけての死亡率の変化に関しては、かなり信頼のおけるものだと思います。この死亡率の改善に影響したものは、①ウイルスの毒性の変化、②ワクチン接種の効果、③医療法の進歩の3つだと思います。
今秋の感染者・死亡者の内訳(ワクチン接種について)がわかれば、もう少し明確に議論できます。しかし、様々な環境の変化により総合したCOVID-19の重症度はこの程度になったということは間違いなさそうです。
話は変わりますが、無ガンマグロブリン血症という疾患があって、細菌感染には弱いのですがウイルス感染については特殊なものを除いて重症化しません。この病気は生まれつきB細胞が存在せず抗体を作ることのできない病気です。この無ガンマグロブリン血症の患者さんたちはCOVID-19に罹っても特に重症化しないことがおよそわかっています。つまり抗体がないからと言って重症化するわけではなく、重症化するか否かには他のウイルス同様、細胞性免疫が大きくかかわっているということです。つまり一般者がワクチンをうってしばらくして抗体が下がっても、感染はするけれども重症化しない可能性が高いということです。その確認のためにもイギリスの今秋の死亡者がワクチンを完了していたかどうかが知りたいですね。
アルファ株からオミクロン株に変異してきました。ウイルスの変異はどの方向にも向かうはずで、病原性の高い方向、低い方向、感染力の高い方向、低い方向すべての方向に変異するでしょう。しかし、その変異したウイルスが生き残るか否かはどの方向にもあるわけではありません。病原性の高い変異をしたウイルスの宿主は死亡するかもしれないし、入院するかもしれないし、きっと他人と接する機会は圧倒的に少なくなります。このようなウイルスはその地域から出てくる可能性は少なく、狭い範囲で淘汰されます。また感染力が高い方が生き残りやすいことは自明でしょう。こうして病原性が低く、感染力が高い方に進化します。きっとオミクロン株はそうだと思いますよ。