思春期の小児慢性腎臓病患者の診療科について

Ⅰ)成人科転科の時期

Watsonらは2011年に国際腎臓学会と国際小児腎臓学会の移行についての共同声明を出し、成人施設への転院・転科は移行プログラム(心理的支援、自己支持、自立した医療行動、教育的・職業的計画、健康=SOCとライフスタイル、性的健康)の完結後、つまり身体的成熟と教育的、社会的、心理的達成が完了してから行われるべきで、学校教育が終了してからであるべきであると述べている。小児科医としては受け入れやすい。

 

Ⅱ)初診患者の小児科受け入れ年齢について

思春期の対応について、内科医に対して小児科医の優れた点は…

  1. 成長・発達の理解
    例えば平均的な男児でも高校生で5-6cmは身長が伸びる
    思春期のことを理解しnonadherenceの起こりやすさを知っている
  2. 親子関係の大切さの理解
  3. 移行プログラム(心理的支援、自己支持、自立した医療行動、教育的・職業的計画、健康=SOCとライフスタイル、性的健康)の完結の確認
  4. 学校教育の中のスポーツの大切さ(部活を含む)の理解

思春期の対応について、内科医に対して小児科医の劣った点は…

  1. 妊娠を意識しての診療
  2. 悪性腫瘍を意識しての診療
  3. 一人の大人、一人の人格として扱うこと、特に親と独立に扱うこと
  4. 小児病棟の入院させることが多い

以上を合わせて考えて以下のような方針はどうだろうか。

  • 高校生までは腎臓病患者の初診を小児科医が診る。
  • 成人科転科の時期は学校教育が終了してからが良いが、それまでに移行プログラム(心理的支援、自己支持、自立した医療行動、教育的・職業的計画、健康=SOCとライフスタイル、性的健康)の完結を目指す必要がある。